No.430 / 2026.05.15
TOPICS / zakka 黒川紀章の中銀カプセルタワービルの記録本

先日紹介した、ホンマタカシ氏が撮影した中銀カプセルタワービルのポスター。あの静かで淡いトーンに浸っていると、今度はそのカプセルの中身や、建築が生まれた当時の生々しい熱量をもっと知りたくなってくる。そんな地続きの好奇心で手元に迎えたのが、MoMA(ニューヨーク近代美術館)が出版したこの一冊だ。
NAKAGIN CAPSULE TOWER by Kisho Kurokawa
3850yen


惜しまれながら解体されてしまった、ミッドセンチュリー期の名作建築。
建築家・黒川紀章が手がけたこのタワーは、カプセルを交換しながら都市とともに成長していくという「メタボリズム(新陳代謝)」の思想を体現したものだ。全編英語のテキストで構成されているが、専門書として身構えて読む必要は全くない。ページをめくって、彼らが夢見た未来のエネルギーや竣工当時の鮮やかな都市の風景を、ただビジュアルとして眺めるだけで胸が躍る。

特に面白いのが、当時の最先端だったブラウン管テレビやオープンリールデッキが壁面に美しく組み込まれたカプセルの内装写真。大好きな写真家のポスターが「外側から見た建築の美」なら、この本は「内側から溢れる時代のロマン」を伝えてくれる。言葉を飛び越えて、当時のデザイナーたちの執念がディテールから伝わってくるようだ。

貴重な木製のプレゼンテーション模型のカットや設計図面も豊富に収録されており、機能美を追求した四角い塊がどう積み上がっていったのか、そのプロセスを視覚的に追うことができる。

ずっしりとしたハードカバーではなく、ラフに扱えるペーパーバック仕様。本棚にきっちり仕舞い込むのではなく、お気に入りのポスターを掛けた仕事部屋のデスクの隅に無造作に積んでおく。作業の合間にふと手を伸ばし、あの時代の熱気にアクセスするための、道具のようなアーカイブだ。
NAKAGIN CAPSULE TOWER by Kisho Kurokawa
3850yen