No.422 / 2026.05.04
TOPICS / zakka 読んで眺めて飾る。辞書のように分厚い椅子の図鑑

家具の本というと、資料集のようなものを想像するかもしれません。
けれど、この『CHAIR: 500 DESIGNS THAT MATTER』は、どちらかといえば写真集に近い感覚です。
有名な名作椅子から、少し癖のある実験的なデザインまで。
500脚が淡々と並んでいるだけなのに、不思議とページをめくる手が止まりません。
CHAIR: 500 DESIGNS THAT MATTER
6600yen

美術書の出版で知られるPHAIDON社の「CHAIR: 500 DESIGNS THAT MATTER」。
PHAIDONらしい余白の使い方も心地よく、
説明は必要最低限。
だからこそ、椅子そのものの形や線が自然と目に入ってきます。
知識を“読む”というより、感覚で眺めていく本です。

たとえば、見た瞬間に「なんだこれは」と思う椅子。
逆に、何気ないのに妙に記憶に残る椅子。
年代も国もデザイナーもばらばらですが、
ページを追っていくと、その時代ごとの価値観や美意識まで見えてくる。
椅子という道具が、単なる家具ではなく、
人の思想や空気感を映してきたことがよく分かります。

有名なデザイナーの作品ももちろん載っています。
ただ、この本のおもしろさは、“知っている椅子を探す”ことではなく、
知らなかった一脚に急に惹かれるところかもしれません。
古い椅子なのに妙に新しく見えたり、
逆に今の家具が、過去のデザインを繰り返していることに気づいたり。

装丁もとても良くできています。
木目をプリントしたハードカバーは、インテリアとして置いても存在感がある。
机や棚に置かれているだけで、
空間の雰囲気が少し静かになるような本です。

椅子が好きな人はもちろんですが、
インテリアや建築、ものづくりが好きな人なら、きっと楽しめる一冊。
何かを調べるためではなく、
気分転換にぱらぱら開きたくなる本というのは、案外少ないものです。
CHAIR: 500 DESIGNS THAT MATTER
6600yen
