No.247 / 2025.05.21

TOPICS / zakka プラスチック製テーブルウェアMELMEX

イギリスの食器史を語るうえで欠かせないのが MIDWINTER(ミッドウィンター) です。
陶器メーカーとして名を馳せた同社が、1950年代に挑んだのがプラスチック製テーブルウェア「MELMEX(メルメックス)」シリーズでした。

当時はまだ「プラスチック=安価で味気ない」という先入観が根強い時代。そんななかで、MIDWINTERはメラミン樹脂を“モダンデザインのキャンバス”として位置づけたのです。軽く、丈夫で、割れにくい。けれども形は決して妥協せず、陶器のような美しい曲線とプロポーションを与えた。
そこには「日常の食卓にもデザインを」という、当時のイギリス的な進取の気風が色濃く宿っています

裏面に押された BREAK RESISTANT TABLEWARE の刻印。
これは単なる品質表記ではなく、「美しいデザインを壊さず日常に届けたい」という意思表示のように思えます。

自分自身、軍用の道具や航空機のように、徹底した機能美を持つものに惹かれてきました。無駄を削ぎ落とした先に、自然と生まれる形。
このカップの持ち手もそうです。丸でも四角でもない、手に収まりやすい三角形のようなフォルム。力学的にもしっかりしていて、視覚的にも軽やか。デザインと実用がぶつからず、共存しているのです。

ペールイエローの柔らかな発色は、ミッドセンチュリー特有の色合い。派手さはなく、けれど視界に入るだけで少し心を和ませてくれる。
紅茶を注ぐと、その琥珀色とのコントラストが際立ち、テーブルの空気を少し明るく変えてくれます。

陶器のカップが持つ繊細さにはない“気軽さ”がありながらも、デザインは決して軽んじていない。
このバランスこそ、時代を越えて私たちを惹きつけ続ける理由でしょう。

DUPON35で扱うものは、単なる「古いもの」ではなく、“時代の思想を宿した道具” でありたい。
このカップ&ソーサーもまた、生活とデザインの接点を教えてくれるひとつの答えだと思います。