ハンス・J・ウェグナーといえば、Yチェアをはじめとする美しい家具デザインで知られる、北欧デザインのレジェンド。
けれど、彼が生涯にわたって水彩画を描き続けていたことは、あまり知られていないかもしれません。
この本では彼の“もうひとつの創造”に出会うことができます。

この画集『WATERCOLORS』には、ウェグナーの「もうひとつの目」が収められています。建築的な構造物、静かな風景、そして何気ない日常の一場面。それらが、彼独自のまなざしと繊細なタッチで描かれています。

色彩は淡く、筆致は簡潔。それでも不思議と引き込まれるのは、
彼のデザイン哲学――「美しさは機能から生まれる」――が、絵の中にも息づいているからかもしれません。

家具という立体を離れて、平面に描かれた彼の世界。
そこには、静かで、誠実で、深い美しさが広がっています。ウェグナーのファンはもちろん、絵やデザインに興味のある方なら、きっと心に残る一冊です。