No.055 / 2022.05.29

TOPICS / goods 東西ドイツが生んだ「Fat Lava」

ミッドセンチュリー期を代表するアイテム「Fat Lava」。
あまり聞きなれない名前かもしれませんが、今も昔も世界中にコレクターが存在する陶器製アート作品です。
アートポタリーと呼ばれる芸術性を取り入れた陶器製品をドイツが第二次世界大戦後に製造を始め、
その中のひとつにFat Lavaと呼ばれるジャンルが存在します。
直訳するとFat【肥えた】Lava【溶岩】と意味し、その名が表す通り陶器はまるで溶岩がふつふつと沸き上がり流れるようなテクスチャー。
主に50年代から80年頃まで西ドイツを中心に盛んに製造されていました。
中には日本の陶器に通じる、わびさびのような奥深さを感じる作品から独特なフォルムや色合いをしたユニークなデザインまで様々です。
陶器は日本の文化や生活においても身近な存在ですが、
製造された土地や人が違えば、美的感覚や感性も異なることから表現される芸術性も大きく異なります。
その独創的なフォルムや色合いを用いた、約半世紀前のデザインが今の我々には目新しく新鮮に感じ、惹かれるのかもしれません。
ひとつ、ひとつ違う模様になることから全く同じものはなく、思わず集めたくなってしまうアイテムです。


 

 

不可測な芸術

Fat Lavaが多くの人を魅了し、惹きつけるのが立体的な釉薬の模様。呼び名の由来通り、溶岩のように粗くごつごつとした今にも流れてきそうなテクスチャーが最大の特徴です。
漂う芸術性は、計算されたものではなく窯の中で変化すことによってできた自然の美しさ。
360度で異なる模様を描くFat Lavaは、見る角度や光の当たり方で雰囲気ががらりと変わります。
そして、印象的なカラーリングは落ち着いたものから、毒々しく鮮やかなものまで様々。
日本の陶器にはあまり馴染みのない個性的で派手やかな色合いでも、芸術性が強いFat Lavaは自然と馴染んでしまう不思議さを持ちます。
アートをお部屋に取り入れるのは難しく感じるかもしれませんが、Fat Lavaは草花を生けなくとも完成しているアート作品。
絵やオブジェをお部屋に飾るように、気軽に取り入れられます


 

 

独創的なフォルム

50年代以降、様々なメーカーが競うようにして製品をしていたアートポタリーは、他のメーカーと差別化を図るように、陶芸家や芸術家を積極的に起用していました。
ドイツでは戦前から芸術の拠点バウハウス(芸術学校)で陶芸を教育していたこともあり、このような活動が加速化。
色や模様で違いを付けるだけでなく、特徴的なフォルムをした陶器も様々に生まれ、中には爆発的な人気を博すデザインも。
現在でも人気が高く、世界中にコレクターが存在するが水差し状のフォルムをしたRuscha「313」です。
今ではFat Lavaを含めるアートポタリーの代名詞ともいえる、広く知れ渡った名作。
ハンドルラインからなる流れるような流線美に対し、ふっくらとしたベースは絶妙なバランスをした圧巻の美しさです。
ユニークで新鮮なデザインから、研ぎ澄まされたモダンな佇まいまで様々に存在するFat lavaは、メーカーやデザイナーで選んでみるのもお勧めです。


 

 

飾るアート

Fat Lavaのフラワーベースは、基礎となるベースとなる形を主に機械で製造しています。
そのため、素地の状態では同じ形のものが作られますが、釉薬を塗っていく作業のほとんどは手作業。
陶器メーカーは釉薬の種類や塗り方でバリエーションを増やし、同じ型を使用していても全く異なる印象を与えるフラワーベースを製造していました。
色合いや釉薬の塗り方で明るい印象でアクセントとなるようなものから、和に通じる落ち着きのある佇まいまで雰囲気も様々。
お部屋の雰囲気や飾る場所を考えて、好みフラワーベースを選べるのも魅力的です。


 

 

“Fat Lava”ITEM LIST

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